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シャルルのlovely日記

私と旦那様のえっちな日常

真理、出張であそこがウズウズ(後)
全もくじ
アイスクリーム屋さんの店長は32歳処女
13話「真理、出張であそこがウズウズ(後)」

打ち合わせが終わって見れば、あとは視察だけだと気が緩み、真理達は旅行気分へとなって車中の賑やかさが増す。
その視察とは、ご当地アイスクリームを販売しながらも、そのアイスをベースにして作ったスィーツも販売している道の駅のことで、ハヤメが農園との打ち合わせや見学だけでは出張が通らないと、前エリアマネージャーと一緒に調べて計画したもの。

ハヤメが正直に道の駅を視察することへなった経緯を話すが、前エリアマネージャーと一緒になって笑いながら説明をしているので、真理達は呆気に取られた。

「しかし、よくそんなことで出張が通ったな。また、ハヤメさんが無理矢理通したのだろう?」

「アハハ。これもハヤメさんの人徳っていうやつですよ」

「その人徳で人を巻き混まないでください」

「そんなに怒らないでくれよ。
 あとで呑みへ連れていってあげるから」

「ハヤメさんのおごり?
 おごりなら喜んでついていきますよ」
 
道の駅は農園からそう遠くない。そんな会話をしているうちにたどり着いた。
明日の予定は朝から本社へ戻り、夜までには出張の報告書を提出するようになっているので、お土産を買うならこの道の駅か、高速道路のサービスエリアしかないので、真理は視察するついでに店のスタッフへお土産を持って帰ろうと、お土産を探して見て回った。
ハヤメとレシピ担当者は何か話し込んでいるが、エリアマネージャー三人も持ち場でもある各店へお土産を持って帰ろうと、それぞれがお土産になりそうなものを探していた。

「真理ちゃん、何か良い物あった?」

郁夫はどんなお土産が喜ばれるのか、女性ばかりのスタッフだから迷っているようで真理の元へ相談にやってきた。

「手作りで美味しそうなクッキーを見つけたから、それを買って行こうかなって思っているところ。
 郁夫くんもお土産を買うの? 私より多く買わなくちゃいけないから大変だね」

「そういうのは良いのだけど、そういうお菓子がみんな喜ぶの?
 俺、そういうのわからないだよね…」

何気ない会話だけど、二人だけの会話。
真理は少し胸が弾み、郁夫が一緒に買い物しようと誘っているみたいだから、迷わず

「私が選んであげようか?」

と誘いへ乗ってあげた。

「うん、頼むよ」

郁夫がそう返事を返すと、クッキーの他にも産地特売のお煎餅や干物などが並んでいる棚を真理と一緒に探し始めた。

郁夫は相変わらず二人の関係を隠して、エリアマネージャーと店長の関係を崩さないまま選んでいるけど、真理は郁夫と一緒に買い物をしている気分へなれたから、心が弾んでニコニコ笑みを浮かべていた。

「郁夫くん、こういうお煎餅でも喜ばれるんだよ」

「え! そうなの?」

真理は地元の人が作った何の変哲もないお菓子など手に取り、郁夫へ見せるも、郁夫は信じられないというような顔をするから、そういうものだと教えてお土産を選んでいく。
そうして、お土産を選んでやっていると

「真理ちゃん、俺にもお土産選んで」

前エリアマネージャーが割って入ってきた。
『折角二人きりで買い物していたのに!』と真理は心の中でムッとするも、郁夫と前エリアマネージャー、男二人は買い物が苦手なのか「そうですよね」と意気投合している。
真理はその様子に呆れながらも、早くあっちへ行って欲しいと願った。

そんな真理の気持ちを余所に、郁夫が前エリアマネージャーへ何か説明したのか

「真理ちゃん、こういうのが好まれるの?」

と前エリアマネージャーが馴れ馴れしく声をかけてくる。

「そうですね…」

真理はムッとしながらも質問へ答える。
そこに

「俺も皆と同じものを買っても良いですか?」

と三人目のエリアマネージャーまでもお土産を選んで欲しいと入ってきた。

『この男までも…
 別に良いけど、邪魔だから早くあっちに行って!』

と真理は心中で叫ぶも、今は仕事中であり二人の関係を隠しているところ。

「良いですよ。皆で同じものを買えば、あとでそっちが良かったとか、こっちで大丈夫かなとか、不安にならないで済むから…」

そう答えながら、郁夫と二人きりになれないイラつきを覚え、打ち合わせが終わってからすっかり気が抜けていると気を引き締めた。
郁夫はどうなのかと、様子をチラッと覗くと、そのやりとりを可笑しそうにニコッと微笑んで見ている。今日お付き合いを始めたばかりだけど、気持ちがモヤモヤする。なんだかやるせない気分へなって、早く二人だけになりたいと強く思うようになっていった。

「皆、写真撮った?」

そうして皆のお土産を仕方なく選んでやっていると、ハヤメとレシピ担当も来て、アイスクリームの売り場の写真を撮ったかと確かめてきた。

写真は出張の報告書へ添付するものだけど、報告書には写真を添付してもしなくても良くなっている。皆は写真を添付した方が書きやすいから、写真を撮るようにしていた。

その写真を二人は真理達がお土産を選んでいるうちに撮ったようで、真理達もお土産を買いながら現場の写真を撮り、実際にアイスやスィーツを買ってその写真も撮った。

「よし! 写真撮ったから、これ真理ちゃんへあげる」

「ハヤメさん食べないのですか?」

「うん。今日はいっぱい甘い物食べたから」

「ハヤメさんまた糖の話ですかい?」

相変わらず騒がしい皆だけど、これで出張の目的を全て成し遂げ、今日の仕事が終わった。

このあとは、いよいよホテルへ向かうことになる。

ホテルまでは約一時間。
夕方には着き、少し休憩してから皆で夕食を食べに外へ出かけることになっている。その頃には夜になっているだろう。

車に戻っても、郁夫は相変わらず二人の関係を知られないようにエリアマネージャーと店長の関係を保ち、真理と目と目が合ってもニコッと微笑むだけで、皆と騒がしく話をする。

真理は皆が雑談で盛り上がっている中、ホテルへ着いてからのことを考えないように努力するも、『郁夫と二人だけになった果てには…』とその後のえっちまでも考えてしまい、あそこをウズウズさせて、どこか緊張をしていた。
そんなことでは駄目だと、浮かび上がってくるえっちな思いを振り切るために、外の風景を眺め、皆の騒がしい会話へ交ざって、気持ちを紛らわせた。
しかし、ホテルへ近づくにつれ、緊張のドキドキが強くなり、気持ちもソワソワして落ち着かない。

つい、ホテルへ着いてから皆の過ごし方が気になり、皆へどう過ごすのか聞きたなくなってしまう。しかし、そんなこと聞いたら、郁夫にえっちなこと考えていると気付かれ、嫌らしい女に思われて嫌われるかも知れない。

そう思うも、早く郁夫と二人だけで過ごしたいから、すごく皆の過ごし方が気になって仕方ない。

郁夫がどういう気持ちでいるのか、後部座席の一番後ろで会話へ交ざっている郁夫をチラッと覗いて見ると、相変わらずすました顔してエリアマネージャーと店長の関係を続けながら雑談をしている。どこまでも行ってもその関係を壊そうとしない。
今は皆の前だから仕方ないと思うも、全く真理の気持ちを理解してくれていないように見える。それが冷たく思えて切ない。お付き合いを始めたばかりなのに嫌われてしまったのか、と不安にもなってくる。

そんな不安になる気持ちを取り払おうと、郁夫の気持ちを確かめたいと思っても、皆がいるから聞けないし、そんなこと聞いて嫌われたくもない。
不安ばかり募るけど、皆の前だからそんな気持ちになっている場合でもない。
不安になる気持ちが顔へ出ないようにニコニコ笑みを浮かべ、皆の会話へ交ざりながら二人の関係を知られないように注意を払い、後部座席の一番後ろにいる郁夫へ真理の想いを知って欲しいと、アイコンタクトをチラチラ送った。


『真理ちゃん、さっきからチラチラ俺を見ているなぁ…』

郁夫には、助手席から振り向きながら皆の会話へ混ざっている真理の顔がチラチラと映って見えて、その落ち着きがない様子から、初心《うぶ》な女子が初めて彼とお泊りする緊張を隠しきれなくてソワソワしているように見えていた。

『この様子だと、かなり期待してそうだけど…』
 
今まで郁夫が頑なにエリアマネージャーと店長の関係を保っていたのは、真理のための演出でもある。
郁夫にとっては真理との関係は不倫関係になるので我慢を教えながらも、初めて男に抱かれる悦びを精一杯引き出すため、真理の気持ちを焦らし続けていた。

その焦らしももう少しで終わりへ近づく。
しかし、近いようでまだ遠い。
ホテルへ着いても、まだ二人だけでゆっくり過ごせる時間がやって来ないからだ。
郁夫はひたすら男心を隠しながら、チャンスを待っていた。

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