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シャルルのlovely日記

私と旦那様のえっちな日常

真理、あそこがキュンキュンして止まらない(後)
全もくじ
アイスクリーム屋さんの店長は32歳処女
15話「真理、あそこがキュンキュンして止まらない(後)」

ホテル到着から夕食までのわずかな休憩時間をそれぞれが好きなように過ごし、これからホテルの外で食事をするため、宿泊の受付で騒がしい一階のロビーで集合した。

集まってみたものの、何を食べるか決めていなかったようで意見がばらばら。
ハヤメが一度この街を訪れて少し地理を知っているから歩きながら決めようと、先頭を切ってすっかり暗くなった外へ出て行った。真理達もハヤメの後を追い、ホテルの外へ出た。

ホテルの外はオレンジ色の外灯が並んで灯り、ビジネスホテルが数軒並んでいる通りとは思えないくらい落ち着いた雰囲気を作り出していた。
それから、その通りを少し歩くと、様々な飲食店の看板が光っている繁華街らしい通りへ入り、ハヤメは周りをキョロキョロしながらその通りを案内する。

看板の光が眩しい夜の街の雰囲気に飲まれて、食事よりも呑みへ行きたくなったのか、ハヤメの呑み仲間でもあるレシピ担当者と前エリアマネージャーがハヤメと並んで歩き、真理も初めて訪れた街を少しでもデート気分で歩きたいから、何気なく郁夫の隣へ並んで夜の風景を楽しむ。

そうして周りをキョロキョロ見ながら探しているうちに、食事の他にもお酒やおつまみも提供している和風の食事処を見つけた。
今日、散々甘い物を食べたからという理由で、この食事処へ入店した。

店内は思いのほか広く、大人六人でも余裕がある席へ案内され、入店した並びのままハヤメ、レシピ担当、前エリアマネージャーが並んで座り、その反対側にもう一人のエリアマネージャーが奥へ座り、真ん中に郁夫、そして通路側に真理が座った。

席へ座るや否や、店員がお冷を持ってきて、早速、お酒を呑みたいハヤメ達がビールを注文し、釣られてもう一人のエリアマネージャーもビールを注文する。

「あれ? 郁夫君も呑めなかったの?
 真理ちゃんが呑めないは知っていたけど」

「車の中で呑めないって言ってましたよ。ハヤメさん」

「そうそう。実家がイタリアンレストランなのに飲めないって言ってた」

「それじゃワインの良し悪しは誰が見ているんだ?
 田舎にある店だからソムリエがいるわけでもないのだろう? 
 まぁそんなことより、ワインの味を見て欲しい時は、俺を呼ぶと良い。
 こう見えても、俺ワインに詳しいんだぜ…」

「おいおい。普段からレシピを研究して舌が肥えているからってワインの良し悪しまでわからないだろう。
 そういう時は、なんでも呑む俺の方が役に立つ。遠慮せずに俺を呼んでくれてもいいよ、郁夫君」

食事の席からお酒の席へ変わり、上機嫌になった皆の話が飛躍して止まらない。
騒がしい中でも、お酒が呑めない真理と郁夫に合わせてハヤメ達も定食を注文し、それを肴に酒が進む。

真理は食事をしながら皆の会話へ混じり、陽気に笑って笑顔を見せながらも、このあとホテルへ戻ってから密かに郁夫と会って、ゆっくり二人だけの時間が過ごせると、期待を膨らませ、その期待を隠しきれないでチラチラと郁夫の顔を覗いていた。

顔をチラチラ覗かれる郁夫は真理のそんな様子を知ってか知らないでか、二人の関係がバレないようエリアマネージャーと店長の関係を保ちつつ真理と顔を合わせ、飛躍する会話へ交ざって食事を進めていた。

酒が進み、雑談が弾んで止まらない。
食事が終わってもまだまだ呑み足りないハヤメ達は、朝から車の中で予告していた通り、呑みへ行く流れになり、店を出た。

「それじゃ、おじさん達は帰るのが真理ちゃんと郁夫君が寝ている頃になると思うから、また明日ね。おやすみ」

「え⁉ そんな遅くまで呑むんですか?」

「お前さんはこのメンバーで呑むのは初めてだったな。記憶なくすなよ」

「真理ちゃん、郁夫君、俺達を気にしないでゆっくり休んで良いからね。
 それじゃ、気をつけて帰ってね。おやすみ~」

「「「 バイバイ~ 」」」

真理はホテルへ戻ってからひっそり郁夫を誘おうと思っていたのだけど、思わぬところで呑む気満々のハヤメ達と離れることになり、ハヤメ、レシピ担当者、前エリアマネージャーの三人に混ざったエリアマネージャー、ご愁傷様と思いながら手を振り、四人を見送った。
郁夫はそんなにグデングデンになるまで呑むのかと、少し引いたものの、気をつけてと声をかけて四人と別れた。

これで真理と郁夫は知らない街で二人きり。ハヤメ達を気にせず、二人だけの時間をゆっくり過ごせる。
陽気に話をしながら夜の街へ消えて行くハヤメ達を見送りながら、真理はニコッと期待を込めて郁夫を見つめた。
しかし、郁夫はまだエリアマネージャーと店長の関係を崩していないばかりか、すました顔。

『そっか。まだハヤメさん達が見えるもんね…
 なんだかすごく緊張してくる…』

「あ~あっ。二人だけになっちゃったね」

やっと二人きりになれたおかげで急に照れくさくなって、何となく照れ隠しにそう言ってみると

「それじゃ、俺達はホテルへ帰ろうか」

と、ドキッと期待が跳ね上がる返事が返ってきた。
しかし、早とちりだったようで、郁夫はすました顔のまま。
郁夫は真理に気付かず、そのまま周りをキョロキョロ見渡しながら歩き出した。
やっと二人だけの時間へなったのに、全く嬉しそうな態度を見せない郁夫。

「うん…、帰ろう…」

がっかりして、元気ない声で返事を返す。

「やっぱり、看板がピカピカいろいろ光っていると、どこの街も夜の街って感じがするねー。
 そう言えば、真理ちゃん少し化粧を変えたよね。
 昼間より雰囲気が一段と色っぽくなって綺麗に見えるよ」

がっかりから急展開。
態度では冷たいのにしっかり真理を見ていてことへ驚く。

「え⁉ 気付いていたの?
 何も言ってくれないから気付いていないと思ってた…」

気付いていたことが嬉しくて、元気が戻ってくる。

「店に入った時、気付いたけど、皆がいたから言いづらかったんだよ」

郁夫が並んで歩く真理の顔を良く見せてと覗き込んで、照れている真理を見つめた。
真理はキュンっと胸がときめくも、こういう時どう応えたら良いのかわからないから

「そっか」

ちょっぴり恥ずかしさを見せてモジモジ答えた。

ずっと冷たい態度だったけど、しっかり真理を見てくれて、優しい言葉をかけてくれる。そのおかげで、これからホテルへ帰って、狭い部屋で一緒に過ごせると思うと、気持ちが舞い上がり、胸がバクバク緊張してきて、あそこもキュンキュンしてくる。その所為か、気持ちを落ち着かせようと、おしゃべりが空回りして止まらない。

真理は一人でおしゃべりしながら、飲食店が並んでいる通りだけど、ほとんど人が歩いていない道を郁夫と並んで歩いた。

『真理ちゃん。わかりやすいなー』

郁夫には、まるで初デートでベッドインを期待して、それを隠しきれなくて緊張している初々しい乙女のように見えていた。
32歳になっても|初心《うぶ》なところを見せる真理へ男心が密かに踊るも、もっとベットインを期待させようと、真理を焦らすためエリアマネージャーと店長の関係を続けた。


ハヤメ達と別れてから、いつ迄経っても恋人のようにしてくれない郁夫。
真理は今日人生初のお付き合いを始めたばかりだから、郁夫のその態度が普通なのか、それとも冷たい態度なのか、わからない。そのため、「諦め」と言う言葉が浮かんできた。

『そうだよね… 
 いくら二人だけになったからって、今は出張中だし… 何かが起こるわけじゃない…
 郁夫くんは結婚しているわけだから、ホテルへ帰ってからも、私が想っていることにならないよね…
 全部、私の思い込み…』

やっと二人だけになれたのに一人で喜んでいる私が馬鹿みたいと、がっかりして気持ちが沈み始め、自分自身が嫌になってきた。
 
郁夫は一人でおしゃべりしていた真理が大人しくなって行く様子を見て、狙い通りの反応だなと次の段階に移す。

「真理ちゃん、もう少し歩かない?」

「え? 」

『もう少しでホテルへ着くのに、まだ歩きたいの?』

真理はいつ迄経っても態度が変わらない郁夫を見て、ホテルへ帰っても一緒に過ごせるわけでもないと、思うようになっていたから、それならもう少し歩いてデート気分を楽しもうと、郁夫の誘いへ乗ることにした。

「いいよ。私ももう少し街を見たいと思ったから…」

少し甘えた声で返事をしながらニコッと微笑み、頷いて見せた。

それほど長い距離ではないけど、街灯や飲食店の明かりで明るい通りから、閑静なホテル周辺やマンションが並んでいる通りへ移り、オレンジ色の街灯や街路樹で落ち着いた雰囲気がある静まり返った通りを歩く。
周辺が静かなこともあって、二人の会話は小声になり、やがて無言へとなっていく。その頃には恋人のように肩と肩が当たるくらいまで二人の距離が近づいていた。

そうして歩いている中、真理はドキドキと緊張に似たときめきがして、こういう雰囲気の中で歩くのが夜のデートなのだろうかと、時々郁夫の顔を覗いては、諦めても諦めきれないホテルへ帰ってからのことを思い浮かべて、あそこをキュンキュンさせて、今の雰囲気をぼんやりと楽しんで歩いた。

郁夫も真理の顔を時々確認しながらも、エリアマネージャーと店長の関係を崩さないで、真理へ寄り添うように歩き

『真理ちゃん、良い雰囲気になってきた…
 これなら、ホテルへ帰ってから、直にでも…』

と、ますます男心を躍らせていた。

そう長くない道のりを並んで歩き、知らない街でのデートがそろそろ終わろうとしている。
宿泊しているホテルが近づいてからだ。

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