【新シリーズ】
アイスクリーム屋さんの店長は32歳処女
1話 「真理、初恋の人と再会」
「いらっしゃいませ」
「ありがとうございました」
真理は、街中にある『旬のフルーツ、季節限定』が売りの手作りアイクリーム店で、アルバイトの子が明るく元気な声が飛び交う賑わいの中、アイクリームの仕込みをそこそこにして、新しいエリアマネージャーがあいさつに来るから店内にある狭い事務所を急ぎ片付けをしていた。
前エリアマネージャーから人事異動の話を聞いたのは、数日前。人手不足なので真理は片付けもできずに今日に至り、仕込みやら片付けやらで大忙しである。
机の上や棚などの片付けを済ませると、店の裏口が開き
「おはようございます!」
と若い男性の大きなハリがある声が狭い事務所に響いた。
その声は誰だろうと振り向きと、見知らぬ人。首を傾げて不思議がって見たものの、真理は店長。挨拶して来た相手へ失礼にならないように
「おはようございます」
と優しい声で返答した。
「店長さんですか?
初めまして。この地域のエリアマネージャーになった鬼頭郁夫です。
よろしくお願いします 」
真理が慌ただしく片付けをしている中、何の前触れもなく新しいエリアマネージャーがやってきた。
エリアマネージャーと言うは、経験豊富な人が多く、店舗ごとのいろいろな計画を立てる時のサポートしたり、シフトで空きが出た時にマネージャーが変わりに入ったり、忙しくて人手が足りない時には手伝いに入ったりして、宣伝広報活動も行う忙しい役職。不規則な労働時間、休日が少ないことから不人気でエリアマネージャーに希望する人が少ない。
そんな過酷なエリアマネージャーだけど、真理は前マネージャーから新しいマネージャーは他の地域で店長を経験してエリアマネージャーになったと聞かされて、てっきり年上の男性だと思っていたのだけど、この新しいエリアマネージャーは真理と同じくらいの歳に見えた。
「初めまして。店長の初羽真理です
こちらこそよろしくお願いします 」
「話は聞いています。こちら店舗の店長は、俺と同じ歳の女性で、長年働いて… 俺より…
…って、もしかして初羽真理って、中学生の頃、同じクラスだった真理ちゃん?
俺のこと覚えている?
覚えているも何も真理の初恋の人だ。
信じがたい事に鬼頭郁夫と言う名前を聞いた瞬間、中学生の頃の面影と一致して、すぐに郁夫だとわかった。
「うん。しっかり覚えてる…よ…」
郁夫は高校卒業後、進学のため地元から離れたと聞いていたけど、まさか同じ会社に勤めていたと知る由もなくお互い目を丸くして見つめ合い、初恋の人との再会に恥ずかしさが込み上がる。
「やっぱり! とても綺麗になったから気付かなかったよ。
真理ちゃん、久しぶり!
あの大人しかった真理ちゃんが今や綺麗な女性となって店長をしているなんて信じられないよ」
真理にとっての郁夫は、中学生の頃、ずっと遠くの方で見ていた存在で、別々の高校へ進学してからは駅などで見かけるたびずっと目で追っていた人、郁夫から見れば真理のことなんか知らないだろうと思っていたから、覚えていたことに驚く。
「高校卒業後から働いているから…」
と、頬を少し染めながら答える。
「そうなんだ。本当に久しぶりだね。
中学生ぶり。いや高校…三年生の頃だった…かな、一度駅で話したの覚えているから、高校生ぶり」
真理はその時を鮮明に覚えているけど、まさか郁夫がその時を覚えていたなんて信じられなくて、嬉しく思い胸が跳ねあがった。
「郁夫君もよくあの時を覚えていたなんて信じられないよ…」
「うん。まぁ、中学の時はずっと同じクラスだったからね」
それから、店が忙しいことも忘れて、共通できる学生時代を思い出しながら昔話をして高校卒業後の話になった。
郁夫は、進学した専門学校を卒業後、そのままその地で一度就職したけど、結婚を機に実家へ戻って来ていた。それから、今働いているアイスクリーム屋へ就職したとのこと。
真理は初恋の人が結婚をしたと聞いて、とても残念に思えたけど、32歳という年齢を考えれば妥当な話。未だに彼氏が出来ない真理の方が可笑しいのだと、苦笑交じりに話を進めた。
「ねぇ、郁夫君。郁夫君の実家ってイタリアンレストランだったよね。
実家の方は継がないの? 」
「ハハハ… 恥ずかしながら帰って来た当初はそう思ったんだけど…
親父とけんかしちゃって…
それで、今こうして、このアイクリーム屋で働いているわけ」
だけど、どうしてアイスクリームの会社で働こうと思ったのか、聞いて見ると、それは郁夫がアイスクリームに魅入られたからだった。
真理もアイスクリーム店に勤めている以上、郁夫の気持ちが良く理解できた。
それから一旦、郁夫の話が終わり、真理の話となった。
「真理ちゃんは高校卒業後、どうしていたの?」
真理は、高校卒業後から現在に至るまで、このアイスクリーム会社で働いているから自慢するような話はないし、目立った話もない。仕事だけのつまらない人生なので話題すらない。あるとしたら、未だに男性とお付き合いもしたことがない処女だと言うことくらい。
そんな恥ずかしいことを話にできるわけないから、うじうじと口を濁らせていると、郁夫から中学生の頃の真理はどうだったとか話をしてきた。
真理の内心はとても嬉しがった。てっきり郁夫は真理のことを全然見ていない遠い人だと思っていたのに、以外にも真理を良く見ていて、真理でも忘れていたことを覚えていたから、信じられなくて心から喜んだ。
ほんのり頬を紅く染めながら、懐かしい中学生時代の思い出話をしていたら、唐突に
「真理ちゃんは結婚しているの?」
と、真理が話をしたくない話題に触れ、年齢と同じく彼氏歴ゼロの真理は何も答えることが出来ずに、初々しい少女のようにちぐはぐして顔を真っ赤に染めた。
「もしかして、今彼氏いないかんじ?」
今いないどころか、年齢と同じく彼氏歴ゼロなのだ。
32歳になっても処女だということを言える訳でもなく、恥ずかしさが込み上げて
「い、今は、ね…」
と見栄を張って答えた。
「そうだよね。真理ちゃん、綺麗だし、おっぱい大きくてスタイルも良いから、周りの男が放って置くわけないよね」
真理の胸は大きいのは事実だが、男慣れもしていないのに『おっぱい大きい』と言う破廉恥な言葉が耳に入ってしまい、ますます顔が真っ赤に染まり、郁夫はこんなにも物事をストレートに言って来る人だったのかと思うものの、郁夫は既に既婚者なのだからそういうところはオープンなのかも知れないとそう思い、そう納得した。
それは間違い。
真理は高校卒業後から現在までアイスクリーム店で働いていることもあって、身近に男性がいないこともあり、同じ年頃の男性との出会いがないばかりか、会社全体でも若い男性が少ないので、そう思ってしまう原因があったが、郁夫は真理の知らない高校生時代に初体験を終わらせ、それをきっかけに性へ目覚め、普段でもついスケベなこと言ってしまう癖があり、結婚した今でも女遊びを少々嗜む、只のスケベ者だったのだ。
「おっと、世間話ばかりじゃダメだね。しっかり仕事もしないと。
アイクリームの仕込みはどんな具合? 在庫は?」
真理は新しいエリアマネージャーである郁夫が来てしまった以上、狭い事務所の片付けをしても意味が無いので片付けを終え、表のカウンターで接客しているアルバイトにエリアマネージャーを紹介して、在庫が少なくなって来た期間限定のアイスクリームを仕込みことにした。
郁夫は真理と話をしていて、真理の態度や反応から
(当時、俺の事好いていたと思っていたけど…
まさか、いくら好きだったからって、こんなに恥ずかしがる反応は見せないよな…
もしかして…
いや、そんなはずはない。
真理ちゃんは中高生の時、目立たない隠れた可愛い子で、真理ちゃんのこと好きだった輩が結構いたはずだから…
32歳という年齢を考えると、ありえない…
でも、なんだろう、年齢に見合わない清楚感に、この初々しく見える反応は… )
真理の彼氏がいないって言っていたことを半信半疑に見ていた。
「郁夫君!
あっ、いや…、マネージャーの方が良いのかな…
まだたくさん仕込まないと間に合わないので、フルーツの皮むき手伝ってください」
郁夫は真理がいきなり仰々しくなったことが可笑しく思いながら、真理の手伝いに入った。
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アイスクリーム屋さんの店長は32歳処女
1話 「真理、初恋の人と再会」
「いらっしゃいませ」
「ありがとうございました」
真理は、街中にある『旬のフルーツ、季節限定』が売りの手作りアイクリーム店で、アルバイトの子が明るく元気な声が飛び交う賑わいの中、アイクリームの仕込みをそこそこにして、新しいエリアマネージャーがあいさつに来るから店内にある狭い事務所を急ぎ片付けをしていた。
前エリアマネージャーから人事異動の話を聞いたのは、数日前。人手不足なので真理は片付けもできずに今日に至り、仕込みやら片付けやらで大忙しである。
机の上や棚などの片付けを済ませると、店の裏口が開き
「おはようございます!」
と若い男性の大きなハリがある声が狭い事務所に響いた。
その声は誰だろうと振り向きと、見知らぬ人。首を傾げて不思議がって見たものの、真理は店長。挨拶して来た相手へ失礼にならないように
「おはようございます」
と優しい声で返答した。
「店長さんですか?
初めまして。この地域のエリアマネージャーになった鬼頭郁夫です。
よろしくお願いします 」
真理が慌ただしく片付けをしている中、何の前触れもなく新しいエリアマネージャーがやってきた。
エリアマネージャーと言うは、経験豊富な人が多く、店舗ごとのいろいろな計画を立てる時のサポートしたり、シフトで空きが出た時にマネージャーが変わりに入ったり、忙しくて人手が足りない時には手伝いに入ったりして、宣伝広報活動も行う忙しい役職。不規則な労働時間、休日が少ないことから不人気でエリアマネージャーに希望する人が少ない。
そんな過酷なエリアマネージャーだけど、真理は前マネージャーから新しいマネージャーは他の地域で店長を経験してエリアマネージャーになったと聞かされて、てっきり年上の男性だと思っていたのだけど、この新しいエリアマネージャーは真理と同じくらいの歳に見えた。
「初めまして。店長の初羽真理です
こちらこそよろしくお願いします 」
「話は聞いています。こちら店舗の店長は、俺と同じ歳の女性で、長年働いて… 俺より…
…って、もしかして初羽真理って、中学生の頃、同じクラスだった真理ちゃん?
俺のこと覚えている?
覚えているも何も真理の初恋の人だ。
信じがたい事に鬼頭郁夫と言う名前を聞いた瞬間、中学生の頃の面影と一致して、すぐに郁夫だとわかった。
「うん。しっかり覚えてる…よ…」
郁夫は高校卒業後、進学のため地元から離れたと聞いていたけど、まさか同じ会社に勤めていたと知る由もなくお互い目を丸くして見つめ合い、初恋の人との再会に恥ずかしさが込み上がる。
「やっぱり! とても綺麗になったから気付かなかったよ。
真理ちゃん、久しぶり!
あの大人しかった真理ちゃんが今や綺麗な女性となって店長をしているなんて信じられないよ」
真理にとっての郁夫は、中学生の頃、ずっと遠くの方で見ていた存在で、別々の高校へ進学してからは駅などで見かけるたびずっと目で追っていた人、郁夫から見れば真理のことなんか知らないだろうと思っていたから、覚えていたことに驚く。
「高校卒業後から働いているから…」
と、頬を少し染めながら答える。
「そうなんだ。本当に久しぶりだね。
中学生ぶり。いや高校…三年生の頃だった…かな、一度駅で話したの覚えているから、高校生ぶり」
真理はその時を鮮明に覚えているけど、まさか郁夫がその時を覚えていたなんて信じられなくて、嬉しく思い胸が跳ねあがった。
「郁夫君もよくあの時を覚えていたなんて信じられないよ…」
「うん。まぁ、中学の時はずっと同じクラスだったからね」
それから、店が忙しいことも忘れて、共通できる学生時代を思い出しながら昔話をして高校卒業後の話になった。
郁夫は、進学した専門学校を卒業後、そのままその地で一度就職したけど、結婚を機に実家へ戻って来ていた。それから、今働いているアイスクリーム屋へ就職したとのこと。
真理は初恋の人が結婚をしたと聞いて、とても残念に思えたけど、32歳という年齢を考えれば妥当な話。未だに彼氏が出来ない真理の方が可笑しいのだと、苦笑交じりに話を進めた。
「ねぇ、郁夫君。郁夫君の実家ってイタリアンレストランだったよね。
実家の方は継がないの? 」
「ハハハ… 恥ずかしながら帰って来た当初はそう思ったんだけど…
親父とけんかしちゃって…
それで、今こうして、このアイクリーム屋で働いているわけ」
だけど、どうしてアイスクリームの会社で働こうと思ったのか、聞いて見ると、それは郁夫がアイスクリームに魅入られたからだった。
真理もアイスクリーム店に勤めている以上、郁夫の気持ちが良く理解できた。
それから一旦、郁夫の話が終わり、真理の話となった。
「真理ちゃんは高校卒業後、どうしていたの?」
真理は、高校卒業後から現在に至るまで、このアイスクリーム会社で働いているから自慢するような話はないし、目立った話もない。仕事だけのつまらない人生なので話題すらない。あるとしたら、未だに男性とお付き合いもしたことがない処女だと言うことくらい。
そんな恥ずかしいことを話にできるわけないから、うじうじと口を濁らせていると、郁夫から中学生の頃の真理はどうだったとか話をしてきた。
真理の内心はとても嬉しがった。てっきり郁夫は真理のことを全然見ていない遠い人だと思っていたのに、以外にも真理を良く見ていて、真理でも忘れていたことを覚えていたから、信じられなくて心から喜んだ。
ほんのり頬を紅く染めながら、懐かしい中学生時代の思い出話をしていたら、唐突に
「真理ちゃんは結婚しているの?」
と、真理が話をしたくない話題に触れ、年齢と同じく彼氏歴ゼロの真理は何も答えることが出来ずに、初々しい少女のようにちぐはぐして顔を真っ赤に染めた。
「もしかして、今彼氏いないかんじ?」
今いないどころか、年齢と同じく彼氏歴ゼロなのだ。
32歳になっても処女だということを言える訳でもなく、恥ずかしさが込み上げて
「い、今は、ね…」
と見栄を張って答えた。
「そうだよね。真理ちゃん、綺麗だし、おっぱい大きくてスタイルも良いから、周りの男が放って置くわけないよね」
真理の胸は大きいのは事実だが、男慣れもしていないのに『おっぱい大きい』と言う破廉恥な言葉が耳に入ってしまい、ますます顔が真っ赤に染まり、郁夫はこんなにも物事をストレートに言って来る人だったのかと思うものの、郁夫は既に既婚者なのだからそういうところはオープンなのかも知れないとそう思い、そう納得した。
それは間違い。
真理は高校卒業後から現在までアイスクリーム店で働いていることもあって、身近に男性がいないこともあり、同じ年頃の男性との出会いがないばかりか、会社全体でも若い男性が少ないので、そう思ってしまう原因があったが、郁夫は真理の知らない高校生時代に初体験を終わらせ、それをきっかけに性へ目覚め、普段でもついスケベなこと言ってしまう癖があり、結婚した今でも女遊びを少々嗜む、只のスケベ者だったのだ。
「おっと、世間話ばかりじゃダメだね。しっかり仕事もしないと。
アイクリームの仕込みはどんな具合? 在庫は?」
真理は新しいエリアマネージャーである郁夫が来てしまった以上、狭い事務所の片付けをしても意味が無いので片付けを終え、表のカウンターで接客しているアルバイトにエリアマネージャーを紹介して、在庫が少なくなって来た期間限定のアイスクリームを仕込みことにした。
郁夫は真理と話をしていて、真理の態度や反応から
(当時、俺の事好いていたと思っていたけど…
まさか、いくら好きだったからって、こんなに恥ずかしがる反応は見せないよな…
もしかして…
いや、そんなはずはない。
真理ちゃんは中高生の時、目立たない隠れた可愛い子で、真理ちゃんのこと好きだった輩が結構いたはずだから…
32歳という年齢を考えると、ありえない…
でも、なんだろう、年齢に見合わない清楚感に、この初々しく見える反応は… )
真理の彼氏がいないって言っていたことを半信半疑に見ていた。
「郁夫君!
あっ、いや…、マネージャーの方が良いのかな…
まだたくさん仕込まないと間に合わないので、フルーツの皮むき手伝ってください」
郁夫は真理がいきなり仰々しくなったことが可笑しく思いながら、真理の手伝いに入った。
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