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シャルルのlovely日記

私と旦那様のえっちな日常

真理、出張中あそこがウズウズ(前)
全もくじ
アイスクリーム屋さんの店長は32歳処女
12話「真理、出張であそこがウズウズ(前)」

本社へ到着した真理と郁夫。
その二人を今回出張の仕事を作った本社務めのハヤメが出迎え、その他にも、本社のレシピ担当者、真理の店舗を見ていた前エリアマネージャー、他エリアのエリアマネージャーが待っていた。

「おはようございます」

真理はイベント時期になると各所へ出向き、各エリアへ指示や応援要請をするので、集まった全員を知っているけど、郁夫は皆の顔を知っているくらい。ハヤメさん、レシピ担当者、前エリアマネージャーは歳の差は違えど飲み仲間と言っても良いほど良く飲んでいる。もう一人のエリアマネージャーは人付き合いが上手としか知らない。

「おはよう、真理ちゃん! 今日の主役、お久だね」

「はい、お久しぶりです。ハヤメさん。
 今日の主役は私じゃなくて、ハヤメさんの目的でもある飲みじゃないですか?」

「アハハ! さすが真理ちゃん。見透かされていたか…
 でも、イベントの話はしっかり頼むよ。
 イベントの反応が良かったら、来シーズンは大々的に宣伝する予定だから」

ハヤメさんは冗談も通じるおじさんで、その陽気さから人気があり、今回のまとめ役と言っても良いだろうくらいの人物。
真理とハヤメが軽く挨拶を交わした後、皆から“ちゃん”呼びされて可愛がられている真理は一人だけ女性だから助手席を指定され、ハヤメの冗談で運転席が特等席へとなって、六人は会社のワゴン車へ乗り込み、高速道路を使って三~四時間、無理をすれば日帰りで帰って来れる目的地へ出発した。


社内の様々なところから集まったからだろうか、車内では仕事の近況や相談など仕事の話が尽きない。そんな中でも、陽気なハヤメは人一倍話をして、賑やかな雰囲気を作っていた。
そうしてしばらく走っている間に高速道路へ入り、何の話題から始まったのか、サービスエリアのソフトクリームの話題へと変わり、仕事熱心なことに皆はその話で持ち切りへとなって、誰が言い始めたかわからないが、まだ時間が余裕あると先々のサービスエリアでソフトクリームがあれば試食する運びへとなった。

「俺、そんなに食べたら糖が出る。無理!」

「ハヤメさん、そんな弱音を吐いていたらレシピなんて考案できないですよ。諦めてください」

ハヤメとレシピ担当者の意見が分かれる。

「ハヤメさん、今日飲まなければ良いのですよ。
 バランス。バランスですよ」

見かねた真理が横槍を入れる。

「真理ちゃん、無理を言わないでくれよ。お酒はおれの楽しみなんだよ…」

「やっぱり、今回の出張は飲みがメインだったのですね?
 予定表を見た時から分かってました」

「真理ちゃん、そんなにバレバレだった?」

「わかる人には、わかります!
 それに、最近ワインにも力を入れている地域みたいですから」

真理も皆の会話へ交ざっているが、郁夫とだけでゆっくり話がしたいと思っていた。
その一方で郁夫の方も皆と会話へ交ざっているが、普段通りエリアマネージャーと店長の関係を保っていた。
真理はそんな様子の郁夫が冷たいと思うも、今朝、お付き合いが始まったばかりだから、周りの人へ気付かれないように気を使っているのだと、心へ言い聞かせた。それでも郁夫と話がしたい。

そう葛藤しながら皆と会話をしている内、ソフトクリームがあるSAへ入り、休憩を取りながら試食が始まった。

「ネットで調べて寄って見たけど、これ濃厚って書いてあるのに普通のソフトクリーム?」

「いや。うちのアイスクリームに慣れているからそう感じるだけで、のぼりに書いてある通り濃厚な味がする…」

レシピ担当者が前エリアマネージャーの質問へ対して、牛乳や生クリームの脂肪分がどうとか、成分がどうとか解説する。
皆も感想など言いながら、その話を熱心に聞き入り、真理もその話へ交ざっているが、郁夫がさり気なく真理の隣へやってきた。何となく郁夫の顔を覗いて見るも、傍へやって来ただけで皆と話に交ざっている。
今朝のように手を握って欲しいと思うも、皆の目があるからそれはできない。
心と心が結ばれたばかりなのに思うようにならなくて、よく見かける恋人同士のように手を握り合いたいと想いが募るばかり。こういう我慢も恋ということなのかと、初めて恋をすると言うものを実感し、改めてずっと想っていた郁夫と結ばれたことへ嬉しく思った。

ソフトクリームの勉強会は食べ終わると同時に終わり、休憩を兼ねた寄り道も終わる。
真理と郁夫はそのまま自然な流れで隣を歩き、再び車へ乗る。
真理が指定席でもある助手席へ乗ると、今度は郁夫が運転席へ乗った。運転の順番が郁夫になったからだ。

真理は心の中で喜び、体を郁夫の方へ傾けながら、皆がいる後部座席へ耳を傾けた。
後部座席から見れば、皆と話しやすい姿勢をしているが、実は郁夫の顔を見つめやすい姿勢をとっている。
郁夫にはその姿勢が一見普通に見えたが、どこか男心が揺らぐ色っぽさがあった。しかし、六人が乗った車なので安全運転を心掛けるため運動へ集中した。

後部座席の四人は真理と郁夫の関係を知らない。陽気なハヤメを中心に騒がしく会話が続く。

真理も騒がしく皆の会話に交ざりながら、エリアマネージャーと店長の関係を保っている郁夫の顔をいつになくずっと隠れて見つめていた。
そうして見つめているのは、真理が今まで彼氏ができなかった所為もあって気付かない内に、郁夫の顔を目に焼き付けて、あとから郁夫を想いながら一人えっちする癖がついていたから、普段郁夫の顔をずっと見られない分、見つめていようとしていたからだ。
自分の癖へ気付かず、しばらく見つめていると、えっちな思いが頭の片隅に浮かんできて、あそこがウズウズしてきた。

 なんだろう…
 郁夫くんを見ているだけなのに…

皆がいる前でそんなえっちなことを考えてはダメと、頭から切り離そうとするも、なかなか離れない。手が届く距離へ郁夫がいるけど、今朝みたいに手を握ることさえできない。
騒がしく会話をしている皆が邪魔にさえ思えて、深く息を吐いた。

「どうしたの?
 溜め息なんか吐いて」

運転している郁夫が声をかけてくる。
真理はえっちしたくてと言えないから

「まだ着かないのかなっと思って…」

と誤魔化しながらも、今日の仕事を早く終わらせて、早くホテルで二人きりになりたいと願望を込めて答えた。

「ハヤメさん、あとどのくらいで着くのですか?」

郁夫は真理の気持ちを知らないため、真理の気持ちに添った答えが返って来なかった。

「もう少し高速を走って、下へ降りたら約一時間ってところかな」

「じゃ、次のサービスエリアで最後か?」

「まだ、食うの?
 レシピの話はもういいよ」

「ハヤメさんが勉強会も含めて作った出張でしょう。その本人が放棄するんですか?」

相変わらず皆は騒がしい。
真理はその騒がしさに紛れて、今のモヤモヤした気分を晴らすため、普段あまり郁夫と話せない分、もっと話をしようと郁夫と会話を始めた。

それからじばらくして、皆の会話へ交ざっていない真理と郁夫に皆が気付く。

「中学?高校?の同級生って聞いていたけど、仲良いなぁ」

「まぁ、そうですね。
 俺の学校では男女問わず、みんな仲良かったので、今でもみんな仲が良いのですよ。
 そういう話をすると、聞いた人、皆が羨ましいって言いますけど…
 皆の学生時代はどうだったのです?
 やっぱり仲良くなかったのですか?」

つい二人だけの会話へ夢中になってしまい、郁夫との関係がバレそうになったと真理は焦ったものの、郁夫が顔色を変えず上手いこと話題を反らし、釣られて皆の話題が学生時代へなっていく。

 郁夫くん、すごい…

真理は二人の関係を守ってくれた郁夫を嬉しく思い、胸をキュンキュンときめかせた。
それから、真理はつい二人だけの世界へ入らないように気をつけて過ごした。



話題が次から次へと変わり中、車は順調に進み、長かった道のりがやっと終わり、予定通り目的地のフルーツ農園へたどり着いた。

車から降りて、疲れた皆は背伸びをしながら辺りを見渡すと、農園は広い農地や事務所を兼ねた作業場の他にも、手作りスィーツを売りにしたカフェと直売店を合わせた建屋があり、その建屋の隣には、食べ放題の時期などにはゆっくり休める休憩場も建てられていた。
予想よりも規模が遥かに大きい農園だったことから皆が驚きの声を上げ、そんな中ハヤメだけは自慢気な顔をしていた。

辺りを見渡しながら、いつまでも驚いている訳には行かないので、早速事務所へ挨拶に行く。
挨拶を済ませ、担当の係員を待っている間、改めて広い農園を見渡していると、係員がやってきて、広い敷地内の見学が始まる。

係員が果物の現状や栽培方法など説明をしながら広い果物畑を歩き、皆がそれぞれついて行く。その際、真理は郁夫と一緒に歩きたいため、さり気なく郁夫の隣へ寄って歩き、係員の説明を疎かにひっそり胸を躍らせていた。
郁夫はその様子を横目で見ながらニコッと微笑み、また車内で会話していた時と同じようにエリアマネージャーと店長の関係を保ちながら歩く。
そうして二人の関係を隠しながら広い農場を歩き、あと少しで収穫が始まろうとしている果物の出来を見学した。

真理がふと建屋の方を見ると、カフェがある建物から出てきたのだろうか、遠くの方で手を繋いで歩いているカップルが見えた。
真理もあんな風に一緒に歩けたなら、と郁夫の顔を覗くも相変わらずエリアマネージャーと店長の関係を保っている。その様子から一緒に歩きたいという願いは郁夫が既婚者だから叶わない、と寂しくなった。
今後、今のように一緒に歩ける機会があるかどうかも不明。あのカップルのように一緒に歩きたいのに歩けない。そう思うと落ち込んでしまいそうになる。
今はずっと想っていた郁夫とやっと心が結ばれたのだから、と今を大事にした。

今を大事にしながら隣を歩き、疎かにしていた係員の説明を聴いていると、また仕事には不適切な郁夫と夜の関係が脳裏へ浮かんできた。
今は仕事中だけど、夕方にはホテルへ着く。
真理の心の中にはデート、そしてその後のことも心の中にある。
以前から想像していたことが現実へなるかも知れない。
予感めいたものが気持ちを逸らせ、あそこをキュンキュンさせる。
郁夫はどうなのだろうと顔を覗くと、やはりエリアマネージャーと店長の関係を保った態度でいる。
そんな郁夫が冷たく思えて、お付き合いを始めた自信が不安になる。
でも、目と目が合うたびにニコッと微笑んでくれる。

「はぁ…」

心と心が結ばれても、お互いの気持ちが分かり合えない。
真理は誰にも聞こえないように、深いため息を吐いた。



係員から一通り果物の説明が終わり、広すぎる農場の見学も終わった。
このあとは、出張の主目的であるイベントの打ち合わせへ移行するため、事務所へ移動する。
移動している間、真理は郁夫の隣を歩きながらデート気分の気持ちから仕事モードへと切り替え、気持ちを引き締めた。

少し休憩を挟んでから打ち合わせが始まり、真理を中心に打ち合わせを進め、時々ハヤメとレシピ担当者も質疑応答をして、エリアマネージャー三人はメモを取りながら参加した。
そうして、長くも短くもない打ち合わせが無事終わった。

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