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シャルルのlovely日記

私と旦那様のえっちな日常

32歳の初キス
全もくじ
アイスクリーム屋さんの店長は32歳処女
6話「真理、思いもよらない32歳の初キス」

キュンキュン胸が高揚して照れくさくなる思いが残る打ち合わせが終わってから、数日後、エリア会議も無事に終わり、忙しい棚卸しがある月末のこと。
日々郁夫への想いが強まる真理は、郁夫と再会した以前よりも毎日が楽しいと思えるようになっていた。
少し浮かれた気分でアイスクリームを作っていると、郁夫から連絡が入り、売り上げや売り上げ計画が上手く行かなかった時に行われる月末会議が突然行なわれることになった。

真理が店長を務める店は、目標をクリアしていて、店舗運営も上手くいっていた。
上手く行っていないとすれば、慢性的な人手不足くらい。それなのに、説教まがいの月末会議が行われる。
真理は不安がよぎり、現状を訴えると、郁夫の口調からそういった会議ではないらしく、話の内容を良く聞くと、販売計画の変更を含め、連絡事項だという。
それを聞いた真理は、会議よりも郁夫へ会える悦びの方が強いため、心待ちにしていた。


閉店一時間前。

客足が少なくなり、片付けをしながら仕事をする時間帯に郁夫がやってきた。

パートさんにはマネージャーが来ると伝えており、パートさんも閉店後に行われる説教まがいの月末会議を知っているから、閉店後、巻き込まれないためにも、早く片付けを終わらせてすぐ帰られるようにする。
真理もパートさんが閉店と同時に帰れるように、棚卸しをしながら一緒に片付けを手伝い、閉店後、五分でパートさんが帰って行った。

アイスクリームが美味しそうに見える灯火が消え、騒がしかった店内がシーンと静まり返る。明かりがついているのは事務所だけ。
コツコツと足音が響く狭い事務所で、二人だけになった。

真理は静かになった空間に二人きりでいることへ、何かを期待するような淡いときめきがして、バクバク胸が高鳴った。
しかし、心が弾むも、何を言われるかわからない月末会議。少し不安になる。

「じゃあ。会議を始めようか」
 
「はい… 
 その前に、さっきも話したけど、店の売り上げは悪くないですよ?」

「あっ、そうだね。
 言い方が悪かったかな。月末の会議だからって、説教ってわけじゃなくて、本社の都合で販売計画を少し変更して欲しいことがあって、それで来たんだよ」

販売計画の変更なら、電話かファイルを送信してもらえば、それで済ませられる。
それなのに、こんな時間に来たってことは長くなるのだろうか、嫌なことじゃなければ、郁夫と一緒にいられる時間も長くなるってことだから、少し気持ちが緩んだ。

前回、打ち合わせした時のように、郁夫は肩が触れ合う距離まで近づき、二人肩を並べてパソコンの画面を見る。

「この計画なんだけど…」

郁夫はパソコンの画面を見ながら修正箇所を指示する。
指示しながら修正するなら、郁夫が直接キーボードを打って修正すれば良いのに、と思うも、まるで恋人が揃ってパソコンを見ているような距離感だから、心が弾んでときめき、少し照れくさいような気もする。

変更箇所は、一か所どころか数箇所にも及び、その間、真理の肩へ郁夫の肩が触れ合い、郁夫の匂いがした。
気持ちが落ち着き、ギュッと抱きしめたくなる尊い匂いだ。
抱きしめてクンクン嗅ぎたくなるけど、そんなことできる勇気もないから、匂いだけで我慢する。

郁夫もアイスクリームの甘い匂いが染みついた真理の匂いに誘われて、抱きしめたいと思うも我慢してパソコンの画面を見ていた。

一通り、修正が終わってから、そのままパソコンの画面を見ながら郁夫が説明していく。

「…仕入れ担当が突然、美味しいからって契約してきてね。それで本社の方で数店舗選んで、その内の店舗がここになって、変更しなきゃならなくなったわけ…」

「そ、そう…」

「真理ちゃん、まだ緊張している?」

先日、そう言って肩を揉まれ、ブラジャーのホックが外れたことを思い出す。

「しぃーてないよ」

少し焦ってしまい、詰まってしまう言葉を無理矢理つなげる。

「どうしたの? 何か変だよ」

「そぉーんなことなぁーいよ…」

「「・・・・・・・」」

真理の挙動不審な行動。二人は見つめ合った。

「…まぁ、いっか。
 それと、仕入れ担当曰く、そのフルーツ農園の人が是非見学に来て、イベントも参加してくださいってうるさいみたいだから、真理ちゃんも見学ついでに話を聞きに行くよ」

「え、え、え、え、え…」

「大丈夫。他の人も行く予定だから…」

「え、え、え、え、え…」

郁夫は、真理が近い距離に照れて、言葉を詰まるのはわかっている。
お互い言葉にしてないが、中学生の時、お互い想っていた仲だ。今の真理の態度を見ても、今でも好意を抱いているのは、一目瞭然。
郁夫も楽しそうに仕込みをしている真理を見てから、好感を抱き、今は二人きり。
頬をほんのり紅く染めている真理を見て、男心が弾むわけがない。

打ち合わせした時のように、さり気なく、真理の後ろへそっと回り込んで、小さな肩へ大きな手を乗せ、細い肩を太い指で揉む。

「突然のことで驚くのも仕方ないと思うけど、そういうわけだから、イベント部部長よろしく!
 詳細は後日って、仕入れ担当が言ってた。
 俺からは、以上かな…
 真理ちゃんの方は何かある?」

「そ、そ、その、ど、ど、どうして私も…」

やはり肩を揉んでも、嫌がる様子がない。
それなら…

「ほんと、真理ちゃんはすぐ緊張するんだから」

下心が赴くまま、小さい肩から大きな胸へ向けて手を滑らせ、思い切り胸を持ち上げるように鷲掴みしてみた。

「きゃっ!」

驚いた声を上げたが、それだけ。

「どう? 緊張ほぐれた?」

真理は、その言葉で、郁夫がわざと胸を揉んできたと知り、本当はきちんとした所で触って欲しいと願うも、とても恥ずかしから、胸を隠して

「せ、せ、セクハラ!」

と、少し嬉しくて浮く気分を誤魔化す。
郁夫はブラジャーが邪魔して、胸の感触が物足りなかったと思いながらも、ニヤニヤしながら

「セクハラって言われてもな~。
 真理ちゃん、緊張して話ができないんだもん」

「そ、そ、それは…」

真理は郁夫が近いからとは言えず、顔を紅く染めたままうつむく。
そんな真理に、男心を益々踊らせた郁夫は、下心が抑えきれなくなって、恥しがって冴え切らない真理の大きな胸をまた鷲掴みして、数回揉んで見せた。

「きゃっ!」

「コミュニケーションだよ」

真理は余りの恥ずかしさに

「こんなコミュニケーションなんてないよ!」

と郁夫の手を払い、また胸を隠す。
郁夫は感じなかったのかと残念そうな顔を見せたものの、今夜はもう遅い。

「真理ちゃんの方から質問が無いなら、今日はもう終わろう?
 急な変更だから、何かあっても、今は思いつかないだろうし、何かあったら明日以降でも良いし…
 じゃぁ、俺は計画書を印刷するから、その間に、真理ちゃんは着替えちゃって… 」

次の段階へ移す。

真理は、言葉が詰まってしまうことを理由に、胸を揉まれたこともあって、先日、着替えを見られたことが脳裏によぎり、警戒するも、郁夫がまたパソコンの画面を見ながら変更箇所を確認しているので、今の内に着替えることにした。

話声が無くなり、キーボードを打つ音とプリンターの動作音だけが聴こえる狭い事務所。
更衣室はその狭い事務所の一画にある。
音が立たないように静かにロッカーを開け、着替える様子がわからないように着替え始めた。

郁夫は静まり切った雰囲気が苦手なのか、カーテン越しに話かけてきて、一人で話している。

真理は郁夫の声で、”早く着替えないと”と気が焦り、いつもより雑に制服を脱ぎ、ロッカーから私服を取り出して広げた。

その瞬間、『シャーーン』

勢い良くカーテンが開く音が聞こえた。

「え!?」

慌てふためいて振り向くと、郁夫がいる。
キーボードを打つ音がしていたのに、なぜ、そこに立っているのか、意味がわからない。
驚きの余りに、声も出せない。

郁夫は真面目な真顔で、色白の透き通った小柄な裸体を眺める。

「真理ちゃん… 綺麗な身体…」

半裸状態の真理へ時間が止まったように、郁夫がゆっくり近づき、数週間前の再会から今までのことが思い返され、郁夫の笑顔、優しくされたこと、着替えを見られて何度も謝ってきたこと、揶揄うように身体を触ってきたこと、胸を揉まれたこと、今まで郁夫とやり取りした出来事が頭の中へ流れ込んできた。

いくおくん… 
前からこういうことしたかったの…
それとも…

好かれているかも、と想いがあったからこそ、今の瞬間が信じられない。

予想通り、目を丸くして身動き一つもせずに、こちらを見ている、

「真理ちゃん、おっぱい大きいのにもったいない
 どうして、世の中の男たちは、こんなにキレイな真理ちゃんを放って置くのか…」

念願だった細くて華奢な腰を筋肉質の逞しい腕で抱き寄せ、驚きが隠せない真理の表情を和らげるように、唇を重ね合わせた。

真理は、時間が止まったようにゆっくり流れて行くと思ったら、いつの間にか郁夫の顔が目前のあり、気付いたら唇と唇が重なり合っていた。

これがキス?

初めて男性の唇が触れた感想は”柔らかい”。その一言だった。
長年、心待ちにしていたキスが、思いもしなかった場所でこんなにもあっけなく行われ、ずっとどんな感じなのだろうと思っていたものが、こんなにも単純な感想だったなんて夢にも思っていなかった。
少し期待外れに思えるけど、何度も一人えっちした相手、ずっと想っていた人。

いくおくん…

信じがたいけど、心と心が結び合ったような気がする。

大好き…

心の奥底から喜びが込み上がると、突然、昔読んだ雑誌の記事が頭の中をよぎり、慌てて息を止めた。
それから信じられない嬉しさのあまり、郁夫の背中にそっと腕を伸ばし、がっちりした体へ抱きつき、目を閉じた。

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